風の王国初の上下巻となる新刊。
長い、長いよ先生!
(以下ネタバレ)
前回「金の鈴」の最後に、リジム死亡の報を受けた翠蘭。
今回は冒頭からいきなりガル視点で始まってちょっと驚いたり。
リジムの死は史実では避けようのない事実なので、実は生きていた、という流れはまずない様に思う。
もしそう言った展開にするならば、作者自身「基本の部分を私が作った創作ファンタジーではありませんので、最初から決めていた流れの通りに進めていきました」とは言わないでしょう。
あくまでも史実に沿った展開を、と言う事かと。
まぁ少女向けのライトノベルなので、史実無視して展開していくのもアリっちゃアリなんでしょうが、個人的にはこの作品は悲劇悲恋で良いんじゃないかと。
さて。
リジムの死を悼み、沈む翠蘭だが、状況がそれを許さない。
リジムの葬儀からひと月経った辺りから、問題が次々と押し寄せる。
王が亡き今、議会の最終的な決裁は女王に任せられるので、翠蘭は議会に出なくてはならなくなる。
そんな中、ロナアルワの妊娠が発覚。
あろう事かロナアルワはお腹の子の父親はリジムであると言い出す。
この辺りの伏線は金の鈴で引かれていたので、まぁこう言う展開になるだろうとは予想していた。
ロナアルワの発言を聞いたティサンは、ここぞとばかりにロナアルワを側室に召し上げさせようと躍起になる。
しかし何者かによる、ロナアルワへの嫌がらせが頻発し、ガルが城内で何者かに襲撃され、次いでディ・セルの家臣トルケックによるラセル襲撃、更には朱瓔まで狙われるなど、事件が立て続けに起きる。
極めつけは、城下四方から火の手が上がり、町が火事によって混乱に陥る。
更に追い討ちをかけるように、周辺の砦までも襲撃を受け、戦力が根こそぎ削がれてしまう。
遂には、城が抱える武官、そして謀反の疑いで投獄されていたティサンや宰相であるガルまでもが、混乱を収めるために城を開けるという異常事態に。
敵の真の狙いは何なのか。
これまでになく重い怒涛の展開。
物語は佳境です。
今回、ガルが超ツンデレで噴いたw
まさに最後の最後に、デレが出たと。
史実ではガルと文成公主の不倫疑惑もあったみたいですが、風の王国においてはティカルがそれを担っているので、翠蘭とはないんじゃないかと。
ロナアルワのお腹の子の父親は、どう考えてもトゥンドゥプ。
名家であるニャン家のために、ロナアルワは一芝居打たされている。
おそらく朱瓔が言ったように、あの夜の出来事はリジムがロナアルワに迫ったのではなくその逆で、ロナアルワがリジムに迫り、リジムが拒絶したのでしょう。
…トゥンドゥプ…(´・ω・`)カワイソス
今回一番怪しいのはミンドゥンでしょう。
立ち回りが鮮やかすぎます。
ケレスも怪しいですが、その怪しい行動はどうも敵を見極めているような気がしてならない…。
あるいはシャンシュン絡みの伏線か。
ケレスは割とお気に入りキャラなので、贔屓目なのかも知れませんが。
とにかくサンボータ早く帰ってきて('A`)
史実では、この後ソンツェン・ガンポ王が再登位し、シャンシュンのリク・ミリャ討伐が行われ、文成公主はクンソン・クンツェン王を弔うため、ラサにラモチェを建立して3年間の喪に服す。
その後、文成公主はソンツェン・ガンポ王に嫁ぎ、ソンツェン・ガンポ王が亡くなるまでの3年間、結婚生活を送る事になる。
更に時が下ると、ガル一族が力を持つも失脚していく訳ですが、果たして作者さんはどこまで描かれるのか。
文成公主は60歳近くまで存命だったので、そこまではさすがに描かないかとは思いますが。
リジムファンはこの先見たくないだろうなぁとは思いますね。
ガンポ王と懇ろになる翠蘭なんて…orz