このお話は、少年と少女の出逢いと別れのお話です。
少女視点で開幕。
少女の世界は四角い窓から見える景色だけだった。
そんな少女の四角い世界に、ある日現れた少年は、優しく笑った。
この表現から、エリーザベドは屋敷に軟禁状態だと推測できます。
メルツ・フォン・ルードヴィンとエリーザベド・フォン・ウェッティン。
運命は、結ばれる事のない2人を無慈悲なその手で引き合わせたのだった。
さて、ここで表現されている「陰の存在」と「弱き存在」。
曲の後半で「世界から虐げられた者同士が、傷を舐めあっただけの幼い恋だと」と言うくだりが出てくるので、メルとエリーザベドは似た境遇にあったのだと推測できます。
そこで「冷たい土の下に埋められた」のはエリーザベド、「歴史の闇の中に葬られた」のがメルと考えてみます。
メルは盲目である事、お忍びの侯妃が馬を走らせながら抱く幼子は侯女で、死にかけているのがわかります。
前者に当てはまるのが「無明の刻の果て」、後者が「葦毛の馬の背なに」。
今回は3曲目の魔女~が曲者で、
・MIKIさんが演じる女
・深見さんが演じる女
・みゆきちが演じる女
3人の女キャラが登場します。
MIKI嬢がテレーゼ、深見さんがアンネリーゼ、みゆきちが侯妃となります。
みゆきち演じる侯妃には娘がいます。
対してアンネリーゼは方伯の妾腹であり、方伯との間に体が不自由な子供がいるらしい。
必死に世継ぎとするよう方伯に迫っている事から、子供は男児の可能性が高い。
作中、男児はメルしか登場しません。
…じゃあテレーゼは?
魔女~でテレーゼは、アンネリーゼに対して「気持ちはわかるが許せない」と断罪します。
アンネリーゼは何をしたのか。
恐らく正妻(侯妃)が産んだ娘を埋めたのではないでしょうか。
アンネリーゼが男を急がせ、穴を掘らせている描写があります。
この子がいなければ、自分の子が世継ぎとして認められる、と言う気持ちから。
そしてその直後、みゆきち演じる侯妃が死にかけの子供を抱き、馬を走らせる描写が挿入されます。
するとやはりテレーゼの立ち位置は?
彼女は自らを「贖罪者」としています。
彼女の犯した罪とは?
何度考えても、ここにすんなり入る答えが見つかりません。
さて、話を戻して鳥籠です。
屋敷から出して貰えないエリーザベド、彼女は友達を欲していた。
でもそれがどんな物かは知りません。
鳥籠の中にいる事、それが何を意味するのかも知らなかった。
君に遇うまでは、寂しさも愛しさも知らなかった。
君は私だけの翼。
外に広がる世界を、優しい君の瞳を、教えてくれた。
鬱蒼と生い茂る夜の森。
足下に綺麗な花。少年は花冠を作って少女にプレゼントする。笑いあう2人。
…2人の逢瀬は夜の森限定?
しかしどんな出逢いにも別離の日がある。
そしてそれはいつも突然。
「メル。この森にも長居しすぎました。もうそろそろ──」
「母上!」
「何かしら?」
「最後に…せめて友達にお別れが言いたいのです…」
「わかりました…あの子ならば特別に許しましょう──さぁ、行っておいでなさい」
「はい!行って参ります!」
テレーゼはエリーザベドを「あの子ならば特別に許す」と言っているあたり、何かしらの認識がある模様。
少年の旅立ちを知った少女は、
「せめて私の代わりに、この娘を一緒に連れていってね」
と、人形を渡す。
「メル…絶対!絶対迎えに来てね!」
「ああ、約束さ!」
迎えに来る、の定義とは?
「森の賢女が、魔女として火刑台に送られる──後に私は、彼の死を知る」
無情に流れる時が少女にもたらしたものは、メルの居ない灰色の季節と、望まぬ婚礼。
過去に思いを馳せる少女。
衝動(イド)は枯れるまで、情欲(イロ)を湛えるけど、自我(エゴ)は知っている、《彼以外もう愛せない》と。
鳥籠の中で、翼(かれ)を亡くしたこの世界で、地に墜ちるまで月光のように羽ばたいてみせようと、少女は誓った。
ここ、陛下も一緒に歌ってるんですが、翼の部分、女パートは「かれ」ですが、陛下パートは「きみ」に聞こえますな。
【締】
やっぱり7thのプロローグなだけあり、今回のマキシだけで全て読み解くのは無理ですね。
ただ、ここでメルはエリーザベドと別れ、テレーゼと別の森へ移住した事がわかります。
その後、「童話」で死亡するまで、メルは人形を友達として肌身離さず持っていた。
エリーザベドから貰った人形、これは貞男(メルヒェン)が持つエリーゼでしょう。
メルツ=メルヒェンは成り立つと思われますが、メルツ=メルヒェン=イドは現状成り立たない気がします。
マキシの段階では、メルツ=メルヒェン≠イドでしょうか。