森を散策する3兄弟。
次男がヒャッホーイする中、三男が転ぶ。
三男、ロイかルイって呼ばれた?
笑う次男だが、長男は優しく駆け寄る。
次男が井戸のそばに何か落ちているのを発見。
泣く弟の心配よりも好奇心を優先させる次男に呆れる長男。
…なんか可愛いんですけどー。
この曲は、タイトルの通り、ある出来事が童話として語られています。
個人的にメル=貞男(メルヒェン)だと思っていますので、かつて自分達の身に何が起きたのかを、エリーゼに客観的に語っている曲なのではないかと思います。
森を歩く少年と少女。
ドレスを纏う少女の足元を気にかける少年。
少女は初めて見る森の、外の広さに胸を躍らせている。
そんな少女にとっておきの場所を見せたい少年。
手を取り合い、キャッキャウフフと走り出す。
開幕──。
少年の叫び声が響く。
落下する少年の目には、丸い夜空、揺らめく月夜が映る。
神の名を呪いながら、奈落へ。
少年の初めての友達は、碧い瞳の可愛い少女だった。
別れの切なさが、恋だったのだと知らぬまま。
ママ、海にナマズがいる!
…ではないよ。
花に水を遣るように、罪には罰が要る。
やがて《迎宵》(グーテンアーベント)
疾しる《第七の物語》(ズィーベント・メルヒェン)
摂理(かみ)に背を向けて──。
少年は母の目の前で、奈落に堕ちて行く…。
《童話は何刻だって 墓場から始まるものさ》
愛らしい人形を手に、現れた青年。
貞男とエリーゼの掛け合いです。
この村には誰も居ない。
それは昔、みんな死んでしまったから。
何故村人はみんな死んでしまったのか。
それは黒き死の病(ペスト)のせい。
何故その森の村に母子はいたのか。
それは或のイドが呼んだから。
何故イドは何の為に人を呼ぶのか。
それこそが奴の本能だから。
「墓穴を必死に掘ってもキリがない」
「それはまるで土塊と死体のミルフィーユ」
墓穴を掘っても掘っても死体が増えるばかり。
やがて1つの穴に幾つもの死体を入れるようになり、それはさながらミルフィーユの様だ、と言う事ですね。
生命の目的は《生きる事》と《増える事》。
しかし《殺せ》と《侵せ》とイドは唄う。
歌詞カードはここで、井戸の絵から殺せ、侵せの文字が出てくる表現になっています。
つまり、発生源は井戸であると言う事。
井戸=水=なくてはならない=飲んだらあぼん。
まるで井戸に殺されているかの様。
仄昏き宵闇の森──。
2人の怪しげな男が、森で何やら探している模様。
そんな2人の前を少年が歩いている。
「あのガキ…噂のデューリンゲンの魔女のガキじゃねぇか?」
「ひょー!こいつぁツイてるぜ!」
少年に近づき声をかける男たち。
「もし坊ちゃん」
「我々は賢女様に用があってやって来たのですが」
「坊ちゃんにご一緒させて貰っても宜しいでしょうか?」
「もちろん、構いません。それでは僕が母の元へお連れ致しましょう」
「ダンケシェーン」
この時点でメルは「友達」を抱いているので、エリーザベドとの別れを済ませている。
世間の悪意など何ひとつ触れぬまま育ったメルは、招かれざる客を連れたまま母の元へと帰るのだった。
「ママ、ただいま戻りました」
「お帰りなさ…その男は何者…っ」
「坊ちゃん、ご苦労…さん!!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「メル───!」
「ほれ、お友達だぞっと!」
「…テレーゼ・フォン・ルードヴィン、堕ちてもランドグラフの血筋。その醜い頭、二度と胴体の上に君臨出来ぬものと思え!」
「マジかよっ!?」
メルを窓から突き落とされてブチ切れるテレーゼママは、剣を手に狼藉者たちに斬りかかる。
しかし相手は2人、テレーゼは捕らえられてしまう。
いずれ《迎暁》(グーテンモルゲン)
染まる《薔薇の庭園》(ローゼンガルデン)
摂理(かみ)を背に受けて───。
「キミが今笑っている、眩いその時代に。
誰も恨まず、死せることを憾まず、必ず其処で逢おう」~「光と闇の童話」
…其処と底をかけてるのか?
しかしこの直後、復讐を高らかに宣言する貞男さん。
『第七の墓場、さあ…復讐劇の始まりだ』
【締】
今回、曲で時系列を語るのは難しい。
ひとつの曲の中で時代が何度も飛ぶ。
テレーゼは「堕ちてもランドグラフの血筋」と言って、流れる血筋を誇っている辺り、やっぱり方伯の血縁と見て間違いないかと。
「フォン」は貴族につくらしいですし。
また、メルが男たちを連れて帰った際の第一声を「ママ」にしましたが、そう聞こえたしなー…でもママって…とモヤモヤしてましたが、元々ママはドイツ語で、子供が母親を呼ぶ時に使う軽いニュアンスだそうです。
そしてイドとはフロイト的には欲動な訳で。
人の精神エネルギーの源泉とされているので、イドに特にこれと言ったキャラ付けがなされてないのには納得できる部分もあります。