12.死せる乙女その手には水月
いつの世にもなくならない、神への供物、生贄と言う名の 因習。
運命は何度でも犠牲者を選出し、その命を散らすのだろう。
スコルピオスの手に堕ちたミーシャは、エレウを想いながら、ソフィアの言葉を思い出していた。
全てを愛す女に成れたかな…。
水の名を持って神、ヒュードールにミーシャを 捧げるスコルピオス。
剣で貫かれたまさにその時、スコルピオスの声に聞き覚えがあったミーシャ。
…まぁ若本さんですからねw
花開く乙女達、咲き誇る季節は短し。
されど美しく散るのもまた人生だとソフィア。
その頃、エレウはようやくソフィアの島まで辿り着いたが、一足遅くミーシャは敵の手に堕ちたと知る。駆け出すエレウ。
ミーシャ、先刻訪れた若者は、あなたと良く似た目をしていたわ…。
どこか遠い呟きなソフィア。
敵の足取りを追い、エレウは辿り着いた。
ミーシャが横たわるその場所に。
エレウの悲痛な叫びが凄く切ないわ…。
陛下いい仕事するなーマジで。
ミーシャの最期の時に駆け付けられたのは、運命からのせめてもの贈り物か。
やっと逢えたね、探したんだよ。
ねぇ憶えてる?遠き日の我侭、水面に映る月…ついに手に入れたんだよ…。
さよなら…私の片割れ…もうヒトリの私…。
幼き日に交わした約束、明日はもう来ない。
星女神の怒り、神域を侵せし賊には神罰を。
寵愛する勇者に授けしは弓矢。
13.奴隷達の英雄
手に入れるのは、自由か死か。
あの日の少年は黒き剣を取り、復讐に燃えていた。
今や奴隷達を率いて戦うリーダーだ。
タナトスの囁きは、日増しに強くなっている。
自分にはもう何もないのだ。
希望など遺されてはいない。
タナトスに同調しかけているエレウ。
平等なんて幻想だ。死以外の約束など交わせはしない。
諦めるな、抗うのだ。
無力な奴隷は嫌だろう?そうして各地の奴隷を味方に付け、日に日に力を拡大して行くエレウは、やがて紫眼の狼と呼ばれるようになり、祖国アルカディアの敵である、バルバロイに味方する。
傀儡と化した王は、レオンティウスの父、勇者デミトリウス。
それを射たのはオリオン。
さらにオリオンを刺したのがスコルピオス、そのスコルピオスを討ったのがレオンティウス。
東方から来る足音、やがてニ匹の獣は出会うだろう。
オリオンは、自分に関する噂を信じてしまい、自分を奴隷として売った父を憎んで射た気がします。
これにより、死の連鎖が起きる訳で、【破滅を紡ぐ】という神託が成就します。
そしてレオンティウス以外に、突如現れた王子が邪魔なスコルピオスがこれを殺し、前々から何やら画策していて鬱陶しかったスコルピオスを、レオンティウスが討ったと言う図式が一番シンプルかと。
14.死せる英雄達の戦い
レオンティウスの母カサドラは、出陣する息子に、紫眼の瞳を持つあの男と戦ってはならないと強く訴えるも、士気が高まっている息子を思い留まらせるには至らなかった。
エレウは、アメティストスと言う名で、バルバロイの将軍職に就いていた。
レオンティウス、アメティストス両軍は作戦を立てている。
オリオンが死んだ報はアメティストス側にも届いているらしく、オリオン亡き今、弓兵はただの雑魚に過ぎないとアメティストス。
一方レオンティウス軍。
弓兵を相手にしない猪突猛進な戦法に苦笑い。
レオンティウスはシリウスとオルフで敵を挟撃する指示を出す。
舞台は風の都イリオン。
アメティストスはイリオンに高らかに宣言する。
お前を守る楯が、誰の血によって築かれたものか、我等は忘れはしまいぞ!と。
奴隷達が築かされた城壁を、今まさに奴隷達が討ち崩したのだ。
その報はレオンティウス軍にも走り、彼らを驚愕させる。
アメティストスもまた、レオンティウスと同じように、神の眷属なのやもしれぬと言う認識を与える。
レオンティウスとカストルは、風の都イリオンに向かい事に。
そして遂に出会ったニ匹の獣。
「奴がアルカディアの憎き国王…ミーシャの仇!」
「私が相手になろう!」
「望むところだ!」
剣を交え、互いの強さを実感する二人。
レオンティウスはアメティストスに問う。
同国の者がなぜバルバロイに荷担するのか、と。
アメティストスは答える。
祖国が私に何をしてくれた…愛する者を奪っただけではないか!笑わせるな!と。
再び対峙した二人を、息子達が争うのを見るに耐えられなかったカサドラが止めに入る。
しかし勢いづいたアメティストスを止められず、レオンティウスと共に討たれるカサドラ。
そこに駆けつけたアレクサンドラも、アメティストスに挑むが、共に討たれる。
タナトスが器を手に入れる瞬間が整った。