1.冥王-タナトス-
等しく愛でる存在、等しく散らす存在は、作中に全て登場しますね。
そして母上。
神話上ではタナトスの母は夜の女神ニュクスになるのですが、モイラと聞こえます。
モイラもニュクスから生まれた神とされている訳で、謎です。
命を運び続ける、とは、運命そのものを指すのか、運び手であるモイラを指すのかも解りません。
そして貴柱が命を運び続けるのなら、タナトスは生きとして生ける全てを、殺め続ける事で奪い続けると宣言。
不運な姫君も血濡れた花嫁も、タナトスは迎えに往く。
預言を受けて生まれてきたエレフは、人の死が見える瞳を持つ。
つまりタナトスに選ばれた、器である。
時が経ち、エレフは死せる英雄達の戦いで生母を殺してしまう夜、タナトスが宣言した通り、融合を果たしてしまう。
生者の命の長さを弄び、死の影に怯える子供達に痛みを与え続ける、無慈悲な運命の女神が統べるこの世界に、平等などないのだ。死こそが生者の持つ、唯一平等なもの。
だからタナトスは生きとし生ける全てを、殺め続ける事で、救い続けようと宣言。
この曲だけ、唯一のタナトス視点な訳で。
これから幕を開ける歌の概要と、要約を伝える歌な感じ。
2.人生は入れ子人形-マトリョーシカ-
この歌は神話に組み込まれていない、完全な外側視点の歌です。
神話からずっとずっと後の時代。
しかし共通しているのは「女神が戦わぬ者に微笑む事など決してない」という事。
これはズヴォリンスキーの母の形見である、一冊の本に書かれている物語の一部だろう。
そして彼は神話をもう一度、歴史の舞台に立たせたいらしく、それはこの神話が一度は歴史の舞台から下ろされたと言う事なのか、自らが神話に挑みたいのか、どちらだろうか。
銀のお注射→毒の注射でしょうな。
そしてズヴォリンスキーは本当にロシア人なのか。
ちょっとロシア人と言う事をくどくアピールし過ぎな気もします。
暗号ページの件もありますし。
3.神話-ミトス-
この曲は創世の神々の話。
世界には、ただカオスあり。
しかし問題はこの先。
ギリシア神話に当てはまらない罠。
デスモスとハルモニアからヘーメラーとニュクスが、メロスとハルモニアからヘリオスとフェガリが、ヘーメラーとニュクスから大地女神の眷属が、ヘリオスとフェガリからタラッサが、そして最後に人間を創った、となっているミステリー。
Moira仕様の創作なのでしょうか。
この曲は歌い手が六姉妹と言うのをアピールしたいみたいなので、創作でも問題ないのかも。
長女イオリア、次女ドリア、三女プリ(ロ?)ギア、四女リディア、五女アイオリア、六女ロクリア。
詩女神と書いてハルモニアと聞こえます。
そして最後は国の名前。
風はエネモス、戦はマケー、火はフォーティア、地はゲー、光はフォス、智はデュナメス、水はヒュードールと聞こえました。
4.運命の双子
舞台はアルカディアの山村か。
世界の悪意を識らぬ幼子が遊んでいる。
そこへ運命の女神が舞い降りる。
空を翔る鳥は、どこまでも飛べると信じていた少年。
水に映る月を、いつかは取れると信じていた少女。
二人は生まれ時からいつも一緒だった。
そして優しい父と美しい母、そんな日々がいつまでも続いてゆくと信じていた。
夕暮れ、二人は家路を競った。
そこに忍び寄る、狡猾な蠍の影。
家には来客が。
かつて父はアルカディアの双璧と謳われた勇者ポリュデウケス。
勇者を訪ねてきたのはスコルピオス殿下。
なぜ剣を捨てたのかと詰め寄るスコルピオスに、野心家の貴方には言ってもわからないでしょうとポリュデウケス。
そこへ間が悪く帰宅した双子。
子供達を人質に取られそうになるも、妻に子供達を連れて逃げろとポリュデウケス。
スコルピオスは言う。自らの元で働けと。
断る意思を示し、剣を抜くポリュデウケス。
恐らくポリュデウケスはこの対峙で果て、妻も子供達を逃がした後、追っ手に殺されたと思っています。
冥王でも、勇者は等しく散らされる存在ですし。